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ふくしまの食から広がる新しい絆

キリングループは、2011年7月に「復興応援 キリン絆プロジェクト」を発足。「絆を育む」をテーマに、東日本大震災の復興支援を継続的に行ってきました。2013年からスタートした第2ステージの取組みでは、“生産から食卓までの支援”というテーマのもと、農業・水産業の支援に取り組んでいます。

これまで培ってきたノウハウを共有しながら、地域の方々とともに試行錯誤して商品開発や販売戦略の策定支援を進めるなかで、今、東北では、“誇り”を胸に集まった農業・水産業のリーダーや地域のメンバーがひとつになり、次々と新たな動きが生まれています。今回は、福島県いわき市でキリンが応援している2つの取り組みをご紹介します。

いわきの海

新しい干物文化を創造する

干物×鍋というアイデアで切り開く需要
福島県いわき市はサンマやカツオ漁が盛んだった小名浜などの港が点在し、古くから干物文化が根付いていた土地。サンマのみりん干しをはじめ、天日干しの魚を乾かす光景は町の風物詩となっていたほどでした。しかし震災の影響をはじめ、後継者不足や原材料の高騰、消費者の魚離れなどのさまざまな要因から、いわきの水産業は苦戦を強いられています。

干物の加工工程

そんな状況を打破すべく立ち上がったのが、いわき社中グループによる「出汁入り鍋用干物推進プロジェクト」。いわき発の干物ブランドを生み出し、干物の新たな需要を開拓する取り組みです。

「もともと10月から2月の寒い時期は、生のサンマなどの需要は高まるものの、干物の売り上げは減少する時期でした。干物業界の閑散期である冬に新しい需要を掘り起こすことができれば、仕事を生み出し、いわきを盛り上げることにつながる。だからこそ冬に売れる干物商品を作りたいと考えたんです」。

そう語ってくれたのは、プロジェクトをけん引するメンバーのひとりである真木俊介さん。

海神 真木専務1

核となったのは、干物と鍋料理を組み合わせた斬新なアイデアでした。発案したのは、水産加工販売会社「海神(わだつみ)」の社長でもあり、いわき社中グループ代表の石井英樹さん。昔から魚は鍋料理の具材にはなっているものの、いつの間にかボロボロと身が煮崩れて存在感が感じられないことに不満を持っていた石井さんが、うまみを凝縮した干物を鍋に入れれば出汁にも具材にもなっておいしい鍋が出来上がるのではと思いついたのです。もっと魚をおいしく食べて欲しいという、干物屋としてのプライドが込められていました。

いわきの水産業界を元気にしたい
プロジェクトチームが一丸となって、アイデアを具現化しようと試行錯誤。地域ならではの独自ブランド商品を確立し、販路を拡大する取り組みを応援しているキリンは、資金的な援助だけではなく、社員もプロジェクトチームの仲間としてアドバイスを行うなど、商品開発に伴走しました。そして完成したのが、干物とジュレ状のタレが一体となった「鍋干物」シリーズ。

鍋干物陳列

好みの野菜と水を加えて火にかけるだけで、手軽に鍋が楽しめる商品です。干物となっている魚は身崩れしにくく、魚そのものが主役に。時代のニーズに合わせて、骨を取るなど誰もが手軽に、1人でも楽しめるサイズにもこだわりました。各地での試験販売をへて、2018年の冬から本格的な販売を目指しています。

鍋干物の調理例

「商品開発ではキリン絆プロジェクトの方々にアドバイスをいただいたことでさまざまなノウハウを学び、鍋干物はもちろん、他の商品開発にも活かすことができています。干物は伝統食になりつつありますが、それでは衰退するばかり。若い世代にも毎日食べてもらえるような商品開発を今後も目指していきたい。食育を兼ねた商品を作ることで、小さなお子様にも魚を食べて欲しいです」。

海神 真木専務2

そしてキリン絆プロジェクトを通じて、いわきの水産業界の課題を再認識しつつも、明るい可能性を徐々に感じるようになってきたとのこと。

「グループのメンバーだけでなく、同業者を巻き込んで、仕事の受け皿を作っていきたいんです。いわきの水産業界は今まで横のつながりがありませんでした。水揚げ量も仕事も豊富だった時代はそれでも良かったけれど、年々衰退している状況でそれを続けていては未来がないと思うんです。キリン絆プロジェクトを通じて、小名浜さんま郷土料理再生プロジェクトなど他のプロジェクトに携わるメンバーと交流も生まれつつあります。これからの世代はみんなが手を組んでいきたいです」と、熱く語る真木さん。

新たな干物文化を生み出し、いわきを元気にするチャレンジは始まったばかりです。

ふくしまの食を高める料理人と生産者コミュニティ

風評被害で捨てられる野菜を加工品に
年間を通して温暖な気候に恵まれている福島県いわき市では、ネギやトマトなど数多くの農作物が生産されてきました。

いわきのトマト

しかし震災以降、「福島県の野菜は買わない」と原発事故による風評被害によって、野菜を廃棄せざる状況に。そんな農作物が廃棄された畑で出会ったのが、フランス料理店『Hagi』のオーナーシェフ萩春朋さんと生産者でした。

このままではいわきの農業、そして食文化が消えてしまうという危機感を抱いて、捨てられるはずだった野菜を使った加工品を作り始めたのです。

レストランHagi

「野菜を活かせて、賞味期限の長い加工品は、非常用の食料にもなることも重要でした」と、萩さん。そうして農作物の魅力を知り尽くす生産者と、食材を最大限に活かす料理人を中心にチームとなった「いわき6次化協議会」を発足させ、「いわき“食Labo”プロジェクト」をスタート。

キリンは加工品開発をきっかけにした福島の食のブランド向上を目的に、加工設備の支援を行い、ラボラトリーが始動することになりました。

加工施設

「それまで水産加工を行う施設はありましたが、野菜や果物に特化した場所はほとんどありませんでした。なおかつ生産者は大量に加工品を作りたいわけではない。少量ロットでさまざまな実験をし、開発ができることが大きな特徴です」。

そして何より大切にしたことが、生産者と料理人が一体となって、加工品を作ることでした。

「単に委託ではなく、ラボラトリーに生産者が来て、一緒に煮詰めたり、充填したりする。作り方を覚えれば、いずれ自分たちでも作れるようになるし、和洋中とさまざまな料理人がいるので、バリエーションも増えます。トレーニング場としての役割も担っているんです。それに一緒に作業していると生産者と料理人が情報交換をしたり、距離が縮まって、さまざまなつながりが生まれていったんです」。

開発中の加工品

焼きネギドレッシング、トマトソースなどいわきの農産加工品のみならず、宮城県の養殖のりを使ったのりドレッシングや、岩手県遠野市のホップを使ったホップサワーなど、地域を越えた商品開発の取り組みも始まっています。

食が人をつなぎ、絆がふくしまの食を高める
ラボラトリーを起点に絆が深まったことで、コミュニティの輪も活動内容も拡大。2017年には「いわき6次化協議会」から「F’s Kitchen」へと名称を変更しました。Fという文字はFood,Farmer,Fisherman,Fukusima,Futureを表し、福島の食の価値を高めたいという思いが込められています。

震災前まではつながりのなかった異業種のメンバーが集まるチームをつないでいるのは、福島の大地が生み出す食への愛。

「東京で修行して、地元に帰ってきた2000年ごろは業者を通して野菜を買うしかなくて、福島に魅力的な食材があるとは気づいていませんでした。けれど震災後に数多くの生産者とつながることができて、今では一年を通しておいしい食材があることがわかったんです」と萩さん。

Hagi萩シェフ

「F’s Kitchen」のメンバーで、イタリア料理店『スタンツァ』のシェフ北林由布子さんもプロジェクトを通じて世界観が広がったと語るひとり。

「農家だけでなく、今ではサンマの生産者など水産も含めて、地元でおいしい食材に出会えるようになりました。トマト缶はイタリアから輸入したものを使っているのですが、トマトソースもいわき産のトマトで作ってみたいと農家の方に相談したら、テスト栽培を始めてくれたんです。ここから先は、楽しみしかありません」と語る北林さん。

スタンツァ北林シェフ

食材が人をつなぎ、そこから生まれた絆が福島の食を発展させていく。当初想定していた活動を飛び越えて、プロジェクトは進化し続けています。生産者と料理人だけでなく、食べる人もつなぐためにイートミーティングというイベントも開催。地元の食を考えるきっかけづくりや食育、次世代に伝えていきたいという願いもあるそうです。

「われわれが目指しているのは、福島の食を日本一にすること。生産者と料理人が連携して、福島で面白いことをやっているなと思ってもらえるようになればうれしいです」。

課題に向き合って、地域の食文化と産業を守ろうとする人たち。そこから育まれた絆は、新たな価値や文化を生み出そうとしています。キリンも地域に寄り添いながら、チャレンジを支え続けていきます。

絆プロジェクトバナー画像

キリングループは、東日本大震災復興支援に継続的に取り組むべく「復興応援 キリン絆プロジェクト」を立ち上げ、3年間で60億円の拠出を決定。「絆を育む」をテーマに「地域の食文化・食産業の復興支援」、「子どもの笑顔づくり支援」、「心と体の元気サポート」を3つの幹として復興支援活動を続けてきました。2013年からスタートした第2ステージの取組みでは、 “生産から食卓までの支援”というテーマのもと、農業・水産業における「地域ブランドの再生・育成支援」、「6次産業化の推進・販路拡大」、「将来にわたる担い手・リーダーの育成」という3本柱の支援を推進しています。また、2016年に発生した熊本地震の復興応援活動にも取り組んでいます。
笑顔のあふれる食卓が広がるよう、『復興から未来へ』、活動を推進してまいります。

・水産業の支援

・農業の支援

・熊本地震への復興支援