支援先について

公益財団法人みちのく未来基金(宮城県仙台市)

http://michinoku-mirai.org/index.html

東日本大震災、この未曽有の大災害で親を亡くした子どもたちが全国で何人いるか、ご存じだろうか?
「およそ1,800人」、厚生労働省でまとめられた統計の数字である。おびただしい数の子どもたちが想像を絶する災禍にさらされ、その多くが進学の夢を断念せざる得ない状況に陥った。そしてそれは現在も続いている。
多くの人が絶望に直面していた2011年10月、「震災遺児に進学の夢を」を合言葉に民間企業によって設立された奨学基金がある。

「みちのく未来基金」。同年12月に公益財団法人としての認定を受け、これまでに530人の震災遺児(孤児含む)の進学を支援してきた。事務局スタッフに話を聞いた。
「震災で親を亡くした子どもたちが、夢や希望を諦めずに成長し、故郷の復興のために役立ってほしいとの願いから基金は設立されました。手薄と言われていた、大学・短大・専門学校など高校卒業後の進学に関し、年間300万円を上限に入学金・授業料などの学費を全額返済不要で給付しています」
毎年3月に入学と卒業を祝い、交流を深めるイベントが開催されている。画像は昨年開催した「第5期生の集い」の模様である。

「共助」の広がりは未来へ

みちのく未来基金では今春、約100人のどもたちを「第6期生」として受け入れる。希望を胸に新たな学びの道を歩む彼らと入れ替わるように、92人の奨学生が基金を卒業して社会へと羽ばたいていく。事務局スタッフに学生たちの様子について尋ねてみた。
「既に多くの卒業生が社会にはばたき、さまざまな分野で活躍しています。いろいろな職業についているので、みんな集まったら街ができるかもしれません。なかには、『サポーターの皆さんに助けていただいたので、今度は自分が後輩の力になりたい』と、初任給から寄付をしてくれたOBやOGたちもたくさんいますよ」
「共助」の広がりが、力強く未来へとつながっていることを実感させるエピソードである。

これからも子どもたちとともに

みちのく未来基金の活動は、奨学金の給付という経済的支援が中心となっている。しかし、学費面のフォローだけでは完結しない側面が存在している。 震災から6年が過ぎインフラなどの整備は進んでいるように見えるが、一方で震災遺児たちが受けた傷は深く、まだまだ癒えるにはいたっていないのが実情なのだ。今年進学する第6期生は、震災当時はまだ小学校6年生。この先、さらに若くして被災した子どもたちが続く。どんな問題が生じてくるかは教育心理の専門家でも予測が難しい状況にあるという。

「震災遺児一人一人がそれぞれ異なる事情を抱えています。精神面についても彼らと向き合い、ともに歩む姿勢がより重要になると強く感じています。 私どもでは、進学先が決まると合格面談で抱負を聞き、在籍生には毎年、『年次面談』を行って直接話を聴いています。どうしたら子どもたちに安心して勉学に励んでもらえるかに心悩ませ、難しい課題に直面することもたびたびあります」

おなかにいた子供が卒業するまで

みちのく未来基金のこうした活動はいつまで継続されるのだろうか。
「震災当時おなかにいた子どもが卒業するまで、進学支援の活動を続けることを約束しています。
基金をご支援いただいている皆様は、企業・団体843社、個人4,036人にのぼります。基金の運営経費やイベントなど奨学生の交流に要する費用は、基金を設立・運営している4社からの寄付で賄い、全国から寄せられるご厚意は全額を奨学金とさせていただいています。震災当時おなかにいた子どもが卒業するまで、今後も20年間近く続く支援に必要な奨学金の総額は46億円。必ずしもまだ十分とはいえない状況です」

最後に、基金からの支援を受けて進学した当事者の声を紹介したい。
「こうした支援がなければ進学は諦めていた」
「感謝の気持ちを忘れずに学び、やがて誰かの力になりたい」
2018年以降についても、公的書類の確認を経て基金にエントリー登録された子どもたちがすでに561人おり、総数として1,300人への支援を予定しているとのこと。この機会に、一人でも多くの方にこうした活動を知っていただき、震災遺児を支える「わ(話、和、環)」に加わってもらえるよう願ってやまない。